アップデートで即時与信など4つの機能を実現
アップデートでは、即時与信、請求・支払いの個別最適化、与信通過率向上、システム無停止化の4つの機能を実現した。
「即時与信」は、できる限り多くの人に利用してもらうという与信ポリシーを優先していたため、これまで実装していなかった機能。内部・外部の大量のデータ利用することで、同社の与信ポリシーを優先したまま、システム処理のみで与信判断ができるようになったため、従来の「NP後払い」の与信通過率を維持したまま、即時与信の利便性も提供できるよになった。
「請求・支払いの個別最適化」は、従来の「NP後払い」では、支払い期限や支払い手段など、全取引に対して一元的な請求・支払いフローを構築していたが、今後は取引ごとに個別に最適化する。請求を自動で個別最適化するのは後払い決済では初の試みだという。同機能は20年度以降に開始する予定。
「与信通過率向上」は、不正取引の排除する精度を高めた上で、その後の請求・支払いフローのコミュニケーションの中で支払い可能とみなせる取引が増加する。「システム無停止化」は、AWSにサーバーを移行したため、処理スピードや件数の拡大に柔軟に対応が可能となり、処理限界による停止や遅延の発生率が低減。「マイクロサービス化」で、処理限界や保守改修による停止などが発生した場合でも、一部機能の停止に留まり、サービス全体としては稼働し続けることが可能なアーキテクチャとなる。この2点の変更で、99.99%のサービス稼働率をめざす。
柴田社長「今回の次世代与信は今できる最高の形」
同社の柴田紳社長は、「恐らく世界で初めて何もないところから後払い事業を構築した。NP後払いの、その他の全事業もすべてがイノベーション。今回の次世代与信も、今できる最高形にしたつもり。持てる力をすべて注いでこの形に行きついた。本当によいものを追及すると結果的にイノベーションになる。今後も真摯に社会と向き合っていきたい」とコメントした。
今回のアップデートは、 「テクノロジー」と「データ活用」のアップデートによって実現。テクノロジー領域では、AI活用を強化したほか、サービスシステム全体の構成をマイクロサービスアーキテクチャに変更する。「データ活用」の領域では、同社が扱ってきた内部データ1.8億件超の取引に含まれる情報のうち、従来は与信に活用できていなかった商品明細情報などの情報も多くを活用できる。また、さまざまな外部データについて、システム処理での参照が可能となった。
20年度に予定する「フェーズ2」では、「取りこぼし防止」「運用コスト削減」「不正検知」に関するさらなるバージョンアップを計画している。
「後払い決済市場」が拡大、1兆3500億円に拡大へ
後払い決済サービス「NP後払い」は、年間流通金額2500億円、導入企業4万社以上、大手通販利用率64%、年間ユニークユーザーは1350万人と、「日本で10人に1人が使っている決済」にまで成長。購入者はクレジットカードの情報登録が不要で、商品受取り後に支払えることから、初めて利用するECショップでも安心して買い物を楽しむことができる。事業者はネットショッピングにおける約20%の後払いニーズを、未回収リスクなく提供できる。
ネットプロテクションズによると、後払い決済市場は2002年に「NP後払い」を発表して以来、国内大手決済代行会社などの参入が相次ぎ、直近では複数のスマホ決済事業者も後払い決済への対応予定を発表するなど、盛り上がりをみせている。
国内の後払い決済額は現在5000億円前後とみられ、3年後には1兆3,500億円まで増えるとの試算があり、後払い決済市場は一定の市民権を得るまでに成長したといえるという。