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EC運営者の本音トーク第1弾!(前半) ワークマン、ファンケル、ピジョンのEC運営者が語る。 各社の運営体制と施策とは?

新規やリピーター客の獲得、リアル店舗やモールとのすみ分け、SNS発信で欠かせないアンバサダーとの関係づくり━━自社ECの運営で抱えるそうした悩みや課題を、異なる業種の運営者が集まって共有し、互いの取り組みから解決のヒントを探る3社対談を企画しました。参加いただいたのは、株式会社ワークマンEC事業部長代理の加藤健さん、株式会社ファンケル通販営業本部コミュニケーション部コンテンツ企画グループ課長の萩山智也さん、ピジョン株式会社IT推進部IT販売グループの島崎慶さんの3人です。自社の取り組みの紹介から、「この際、聞いてみたい」と思うことを率直に交わしていただいた内容を前後半にわけてお届けします。

自社ECの体制や運営、現状の売上は

━━はじめに、自社ECの組織体制や運営についてお話しいただけますか。

ワークマン・加藤 当社のEC事業部は約160名が所属する営業本部内に置かれていて、2つのグループに分かれています。「ワークマン公式オンラインストア」(https://workman.jp/shop/default.aspx)を運営するEコマースグループと、EC経由で法人様に対応する法人営業グループです。私はその両方の責任者を2020年5月から務めています。社員は私を含めて11名、ほかにパート社員20名がいます。公式ストアは2013年に立ち上げました。現在は、モールには出店していないのでECは公式ストアのみです。Eコマースグループのメンバーが、商品登録やWebデザイン、システム・物流管理、お客様の問い合わせ対応などの業務を分担しています。

ファンケル・萩山 自社通販サイトを始めたのは1997年ですから、かなり以前から取り組んできました。約100人が所属する通販営業本部の中で、約30人のコミュニケーション部が、ECサイト「FANCL ONLINE」(https://www.fancl.co.jp/index.html)の運営や情報誌の製作、メンバーズアプリ、SNS、アンバサダーの運営管理などを担当しています。リピーターのお客様とのコミュニケーション構築が業務の中心です。

ピジョン・島崎 当社のECは「ピジョン公式オンラインショップ」(https://shop.pigeon.co.jp/)と楽天の公式店の2店舗です。IT推進部の中にあるIT販売グループのパート社員を含めた7人で運営しています。商品登録から在庫管理・発送に至るフルフィルメントを外部業者に委託し、社員はモール担当、SNSやメルマガ、制作担当、外注先との窓口や法人営業などの業務も分担して運営しています。

━━自社ECの売上規模はどれくらいですか。

ワークマン・加藤 EC事業部の売上は2020年度で約30億円です。ワークマン全体の売上が約1500億円なのでわずかですが、EC事業部自体の売上を伸ばそうとは考えていません。私たちは全国約940店舗の大半を占めるフランチャイズ店への送客機能としてECを位置づけています。ネット注文の際に受取り店舗を選択できるページを設けたり、店舗で商品を受け取ると送料無料にしたりして送客を図り、その売上は店舗に付けています。自社ECが店舗売上にどれくらい寄与しているかは算出していませんが、直販目的ではないECという位置づけは、皆さんとは違うかもしれないですね。

ファンケル・萩山 定期購入や電話注文、モールを含んだファンケルグループの通販全体の売上は、2020年度は約540億円で前年度より増えました。コロナ禍で休業した店舗のお客様を通販に誘導しようと、送料無料にしたり、店舗のお客様にも、クーポンをプレゼントして、通販でお買い物を楽しんでいただこうと積極的に取り組んだことも数字に反映していると思います。

ピジョン・島崎 自社ECと楽天の公式店を合わせて約5億円です。始めて約2年なので、まだまだ伸びしろはあると感じています。

━━商品ページ更新のタイミングや作成のフローなどを教えていただけますか。

ワークマン・加藤 EC事業部、営業企画部、商品本部、スーパーバイズ部などが合同で年間のマーチャンダイジング計画を立てて、その中でECの商品ページ公開スケジュールを決めています。新商品をニュースリリースで紹介するタイミングに合わせ、アンバサダーにも情報提供し、事前にYoutube等のSNSで発信してもらい、公式ストアも商品ページをアップし、店舗にも商品が並ぶよう歩調を合わせています。

ファンケル・萩山 化粧品や健康食品などの事業単位で、年間の商品化やプロモーション計画を立てています。それを受けて通販や店舗などのチャネルごとに販売戦略を立てるのですが、私たちは商品情報やキャンペーン情報などをECサイトや情報誌でどう見せるかを考えるのが主な仕事です。商品ページ作成の委託会社に内容を伝えるのはサイトにアップする1、2カ月前くらいで、そこから一気に作っていくイメージです。

ピジョン・島崎 当社は年に数回新商品を発売しており、発売に合わせて商品ページを準備する流れになります。発売に向け、関係部署と打ち合わせをしながら商品ページの準備をしています。

強みと思う点、運営におけるこだわりは

株式会社ファンケル通販営業本部コミュニケーション部コンテンツ企画グループ課長 萩山智也氏

━━自社のECの強み、運営におけるこだわりや注力している点はどこですか。

ワークマン・加藤 ECに限ったことではありませんが、「低価格+高機能」に徹底してこだわったPBの商品力です。全体の6割がPB商品なので、当然ほかでは買えません。アンバサダー開発協力商品も増えてきて、売れ行きが良いので、この商品力が最強、最大の武器だと思っています。これらをいち早く正確にお客様に届けられるよう、商品ページやLPを早く制作し続けることにはこだわっています。

もう一つ、商品ページの特徴として、サイズごとに「残り13」などと在庫数を端数まで表示しています。これは先ほど話しました「リアル店舗のためにECで何ができるか」に注力する一つです。ありがたいことに完売する商品が多いため、店舗に在庫確認の電話がすごく入るんです。公式ストアで残り数を示すことで問い合わせ電話を減らし、お店の負担軽減を図っています。

ファンケル・萩山 メインの化粧品、健康食品以外にも、青汁や発芽米、肌着、雑貨までそろえたカテゴリーの豊富さから、クロスセルにつなぎやすいことが一つの強みと考えています。また、最近注力しているのは、コロナ禍でのお客様とのつながりです。ECサイト内に、ファン化に向けた取り組みとして昨年3月、オウンドメディア「FANCL CLIP」(https://www.fancl.co.jp/clip/index.html)を立ち上げました。美容や健康情報、旬の食材を使ったレシピなどのコンテンツを発信して、お買い物以外の情報での関係づくりに取り組んでいます。定期的に来訪する方も増えてきているので、売上やLTV(顧客生涯価値)の向上につながるよう、長期的な視点で取り組んでいきたいと考えています。

ピジョン・島崎 ベビー用品全般を扱っているので商品数の多さ、育児シーンにおいてトータルで商品提案できることが強みだと思います。当社の商品はAmazonや楽天などの他店舗でも多く取り扱っていただいています。自社ECと、そうした店舗を含めた全体のEC化率をいかに上げていくかにこだわって取り組んでいるところです。また、公式オンラインショップに関しては、PBやオリジナルのセット商品などで差別化し、スピーディーに展開することに力を入れています。

ワークマンに聞きたい、アンバサダー活用の成功体験

━━では、ここからは双方からの質問で。ファンケルの萩山さんからワークマンの加藤さんへ。アンバサダーの方との取り組みの中での成功体験や反響などを教えてくださいという質問です。

ワークマン・加藤 当社は「声のする方に、進化する」というビジョンを掲げているのですが、アンバサダーから、こういうふうに改良した方がいい、こういうアイテムがほしいといった提案をもとに商品開発をしています。一例ですが、イージスというブランドの防水防寒スーツのファスナーについてアンバサダーから、「引手が小さいのでバイク用の厚手の手袋ではつかめない」との声をいただいて、大きさを改良しました。その提案をしてくれたアンバサダーが今度はYouTubeで、「こんなふうに改良してくれました」と発信してくれて、それがどんどん拡散して商品が認知されたという一例がありますが、多すぎて話きれません。

また、昨年秋には試験的に公式オンラインストア限定商品を販売しました。WEB注文専用かつ、店舗受け取り専用という新しい販売方式に挑戦したのですが、店舗面積の限界でニーズはあるのに取り扱われなかった、ペットの毛がつきにくいトリマー用ウエアとキャリーバックの2アイテムで試みました。そのジャンルで影響力のあるアンバサダーとの共同開発で一緒になって宣伝してもらい、私たちも初めてメルマガを配信して発売を告知したら、2アイテムとも即日完売しました。

ファンケル・萩山アンバサダーの方とはどのような形でコミュニケーションを取っていますか。定期的に対面や座談会でお話しをするとか。

ワークマン・加藤 年に何回か、商品開発者とマーケティング戦略担当者主催で実際の商品を使用してみての意見交換会は実施しています。他には「過酷ファッションショー」参加やTV番組出演なども、強い結びつきに繋がっていると思います。

ファンケル・萩山 そうなんですね。当社も数年前からアンバサダー活動をやっていますが、どのようにすれば、楽しんでアンバサダーとして活動してくれるのか、当社への愛着を高めるきっかけが何かを考えておりましたので参考になりました。

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